一日が30時間だったらいいのに。

小生は普段ファーストフードをあまり食べないため、仲間内で寄ったりする時にしか店に入る機会は無い。
そのため、軽やかに調理を進める店員さんにカルチャーショックを受けたりした。鮮やかな手つきで商品を仕上げていく様はもう、ステージで踊るダンサーの如しであった。
特に、バイトらしき女の子の一人の手さばきが素晴らしかった。他人から見れば珍しくも無い光景が、小生にとっては人生観を変えかねないものであった。もし10年前くらいにこれを目にしていたなら、小生はファーストフード店で働くべく日夜勉強に励んでいたに違いない。
そして店を出る際、一言だけでもお礼が言いたくなった。彼女は自分が何をしたのか知らないのだろうが、それでも何かお礼を言いたかった。
なので、その神崎悠里さん(仮名・18歳)に「10年前にお会いしたかった」とだけ告げてきた。
店を出たあと友人達が遠巻きに「犯罪に走るな」などと訳の分からないことを言っていたのだが、あの感動が分からない連中は心が貧しくて可哀想だな、と思ったので何も言わなかった。