学校側での管理に必要だとかいう理由で義務付けられている健康診断に行ってきた。
身長だの体重だのは良いのだが、血液検査はちょっと苦手である。注射針とかいう金属の細いアレをこの体に突き立てなくてはならないのかと思うと、憂鬱だった。
しかし義務は義務。近くにいた友人に最期の言葉を残し、「死刑台」へと向かった。
腕をしばられてアルコール消毒をされた後、「もはやここまでか」と目をつぶった時。
「はい、終わりましたよ」
看護師の方がそんなことを言った。見るとそこには試験管のようなものが3本あり、小生の血らしきものが満たされていた。小生は驚いた。
「えっ!そんなに早く終わるんですか?」
看護師は優しく微笑んで頷いた。
「医学は日々進歩しています。ほら、針の痕も無いでしょう?」
自分の腕を確認すると、一滴の血も出ておらず、その傷跡さえ見当たらなかった。
「すごい!ちっとも痛くありませんでした!」
「最先端の医学の結晶です。もう注射は怖いなんて言わせませんよ。あ、あと手相も見ておきました。よかったらどうぞ」
横からプリントアウトされた紙を渡されると、小生の手相についての情報が細かく印刷されていた。
「信じられない・・・あなたは超能力者ですか!?」
「いえ、最先端医学のおかげです」
小生、現代医学を甘く見ていたようである。