学校が終わり、家に帰る途中の電車はそれなりに混んでいる。隣に座る人と肩がぶつかったりして気まずかったりもする。
しかし特定の駅では人が大量に降りたりするため、その駅を過ぎた後は基本的に快適になる。
今日もその駅で多くの人が降り、快適になっただろうと辺りを見回すと、何故か小生の両隣の人だけが降りずに残っていた。それどころか肩がぶつかるような距離を保ったまま動こうとしないのである。電車の片隅で男3人が固まっているのは異様な光景だったに違いない。小生が通行人ならまず近づかない。そんな中にいる小生はまるで黒服の男達に連れて行かれる不思議生物のような心地である。何故、車内はとても空いているのに小生の周りだけ3人もぴったりと寄り添っているのだろう。小生は不安になった。


もしかして、わざと離れないのだろうか。小生の両隣の二人は実はグルで、小生が困っている様子を見て楽しんでいるのかもしれない。もっと困っているリアクションを大きくするべきだろうか。


もしかして、寂しいのだろうか。小生に頭を撫でられるのを待っているのかもしれない。撫でてあげるべきだろうか。


もしかして、お腹が空いているのだろうか。しかし小生はもう義務教育を終了したので給食の残りのパンなどをあげることができない。どうしたらいいんでしょうか。


そんなことを考えていると、小生を挟んでいた二人は立ち上がり、駅で電車から降りていった。
あれは一体何だったのだろう。